社労士試験の効率的な学習法|暗記地獄から抜け出す3つの戦略
はじめに:社労士試験の「暗記地獄」という壁
社会保険労務士試験の合格率は毎年6〜7%程度。10人受験して1人も受からない、非常に難関な資格試験です。
私自身、2022年に独学でこの試験に合格しましたが、最初は膨大な暗記量に圧倒されました。労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法…各科目で覚えるべき数字や条文は数千にのぼります。
「こんなの全部暗記できるわけない」
そう思った瞬間もありました。しかし、合格後に振り返ると、暗記だけでは絶対に合格できないということに気づきました。
この記事では、私が発見した「暗記地獄から抜け出す3つの戦略」を、年末年始の学習計画を立てるあなたに向けて共有します。
参考記事: この記事はNote記事を基に、さらに詳しく解説しています。
社労士試験で求められる本当の力
暗記だけでは合格できない理由
社労士試験の問題は、単純な知識を問うものではありません。以下のような能力が求められます:
- 横断的理解: 複数の法律を比較して違いを説明できる
- 事例適用: 実際のケースに法律を当てはめて判断できる
- 体系的把握: 各制度の全体像を俯瞰して理解している
例えば、こんな問題が出ます:
「労災保険と雇用保険の被保険者資格の取得時期について、それぞれ述べよ」
これは単なる暗記では対応できません。両制度の違いを理解していないと、正確に答えられないのです。
合格者が持っている「ある法則」
私が合格後に気づいたこと、それは合格者は「法則」を見つけているということです。
例えば:
- 「被保険者資格は『事実』ベースで判断する制度と『届出』ベースで判断する制度がある」
- 「給付の種類は『収入補償型』と『一時金型』に大別できる」
- 「保険料の負担割合は『労使折半』『事業主全額』『本人全額』の3パターン」
こうした法則を見つけることで、暗記すべき項目が10分の1以下になります。
戦略1: 「体系図」で全体像を掴む
体系図とは?
体系図とは、制度全体を1枚の図にまとめたものです。私は各科目で以下のような体系図を作りました:
労災保険法の体系図(例)
労災保険法
├── 適用事業
│ ├── 強制適用
│ └── 暫定任意適用
├── 保険関係
│ ├── 成立
│ └── 消滅
├── 保険料
│ ├── 一般保険料
│ └── 特別加入保険料
└── 保険給付
├── 療養補償給付
├── 休業補償給付
├── 障害補償給付
├── 遺族補償給付
├── 葬祭料
├── 傷病補償年金
└── 介護補償給付
体系図作成のメリット
- どこを勉強しているか分かる: 迷子にならない
- 穴が見える: 勉強していない部分が一目瞭然
- 復習が早い: 1枚見るだけで全体を思い出せる
作り方のコツ
- 最初は教科書の目次をそのまま書き写す
- 勉強が進むにつれて、自分の言葉で書き直す
- 手書き推奨: PCより記憶に残る
- A4用紙1枚に収める(見やすさ重視)
戦略2: 「横断整理」で違いを明確化
横断整理とは?
似ている制度を表にまとめて、違いを明確にする方法です。
例: 被保険者資格の取得時期
| 制度 | 取得時期 | ポイント |
|---|---|---|
| 労災保険 | 雇用された日 | 事実ベース |
| 雇用保険 | 雇用された日 | 事実ベース |
| 健康保険 | 使用関係が生じた日 | 事実ベース |
| 厚生年金 | 使用関係が生じた日 | 事実ベース |
| 国民年金 | 20歳到達日 | 年齢ベース |
こうすると、**「ほぼ全部、雇用された日じゃん!」**という気づきが得られます。
横断整理すべき項目
私が作った横断整理表は約30個:
- 被保険者資格の取得・喪失
- 保険料の納付期限
- 給付の支給要件
- 時効
- 罰則
- 不服申立て
- etc…
これを作るだけで、暗記量が激減します。
戦略3: 「過去問の法則」を見つける
過去問は宝の山
社労士試験は過去問からの出題が多いです。しかし、単に「過去問を解く」だけでは不十分。
過去問から「法則」を見つけることが重要です。
私が見つけた法則の例
法則1: 「数字」は必ず出る
- 保険料率
- 給付額の計算式
- 期間(○ヶ月、○年)
→ 数字が出てきたら、必ずマーカーで色分け
法則2: 「例外」を狙う
- 原則と例外がある項目は、例外が出題されやすい
- 例外を重点的に暗記
法則3: 「横断」は頻出
- 複数の制度を比較する問題は毎年出る
- 横断整理表が直接役立つ
過去問の使い方
- 1周目: とにかく解く(正解率30%でOK)
- 2周目: 間違えた問題の「なぜ」を調べる
- 3周目: 正解した問題も含めて「法則」を見つける
- 4周目以降: 法則を確認しながら解く
私は過去問を7周しました。
年末年始の学習計画術
なぜ年末年始が重要か?
社労士試験は毎年8月下旬。つまり、年末年始は試験8ヶ月前の重要な時期です。
この時期に基礎を固めると、後半の学習が楽になります。
年末年始にやるべきこと
目標: 主要3科目の体系図完成
-
労働基準法(12/30-12/31)
- 体系図作成
- 過去問1周目
-
労災保険法(1/1-1/2)
- 体系図作成
- 過去問1周目
-
雇用保険法(1/3-1/4)
- 体系図作成
- 過去問1周目
-
横断整理開始(1/5-1/6)
- 3科目の横断整理表を5個作成
1日のスケジュール例
午前(3時間): インプット
- 教科書を読む
- 体系図を作る
午後(2時間): アウトプット
- 過去問を解く
- 間違えた問題を復習
夜(1時間): 定着
- 体系図を見返す
- 横断整理表を眺める
合計: 6時間/日
年末年始の7日間で42時間確保できます。
よくある失敗パターンと対策
失敗1: 「完璧主義」
症状: 1つの科目を完璧にしてから次に進もうとする
対策:
- 全科目を並行して進める
- 60%理解できたら次へ
- 後で何度も戻ってくる前提で
失敗2: 「教科書読み込み」
症状: 教科書を何度も読むだけで満足
対策:
- アウトプット(過去問)を優先
- インプット:アウトプット = 3:7
- 読むだけでは記憶に残らない
失敗3: 「計画倒れ」
症状: 完璧な計画を立てるが、実行できない
対策:
- 計画は「ざっくり」でOK
- 毎日やることを3つだけ決める
- 達成できたら自分を褒める
私の合格体験談
勉強開始〜3ヶ月
- 教科書を1周読む(ほぼ理解できず)
- 過去問1周目(正解率20%)
- 挫折しかける
4〜6ヶ月
- 体系図作成開始
- 横断整理表作成
- 過去問2〜3周目
- 徐々に点数が上がる
7〜8ヶ月(直前期)
- 過去問5〜7周目
- 体系図の総復習
- 横断整理表の暗記
- 合格確信
試験当日
- 択一式: 47点/70点(基準点44点)
- 選択式: 28点/40点(基準点23点)
- 無事合格
まとめ: 暗記地獄から抜け出す3つの戦略
-
体系図で全体像を掴む
- 迷子にならない
- 復習が早い
-
横断整理で違いを明確化
- 暗記量が10分の1に
- 本質的な理解ができる
-
過去問から法則を見つける
- 出題パターンが見える
- 効率的に得点できる
年末年始は絶好のチャンス。この記事の戦略を使って、ぜひ合格を勝ち取ってください。
さらに学びたい方へ
参考: この記事は筆者のNote記事を基に、さらに詳細な解説を加えたものです。
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✍️ この記事を書いた人
MechaTora
社会保険労務士 × Web開発エンジニア × データサイエンティスト。
人事労務の専門知識とプログラミングスキルを活かして、実務に役立つツールやコンテンツを開発・発信しています。