30代からのプログラミング独学体験記|働きながら15個のアプリを作るまで
「30代からプログラミングを始めるのは遅すぎる?」「仕事をしながら独学で習得できるのか?」私も32歳でプログラミングを始めた時、同じ不安を抱えていました。しかし、2年間の独学を経て、現在では15個以上のWebアプリを公開し、mechatora.comを運営しています。この記事では、30代・社会人・完全独学でプログラミングを習得した私の学習法、挫折ポイント、そして実践的なアドバイスを包み隠さずお伝えします。
なぜ30代でプログラミングを始めたのか
社労士としてのキャリアに感じた限界
私は社会保険労務士として人事労務の仕事をしていました。仕事にやりがいは感じていましたが、以下のような課題を抱えていました:
- 業務の属人化:Excelでの手作業が多く、効率化の余地があった
- 市場価値の不安:労務の専門知識だけでは差別化が難しい
- アイデアの実現力不足:「こんなツールがあれば便利」と思っても、自分で作れない
- テクノロジーへの苦手意識:ITの進化についていけていない焦り
「プログラミングができれば、業務を自動化できる。自分のアイデアを形にできる。」そう考え、32歳の誕生日にプログラミング学習を始めることを決意しました。
最初の目標:自分の課題を解決するツールを作る
「エンジニアに転職したい」わけではなく、「今の仕事に活かせるスキルが欲しい」というのが本音でした。最初の目標は以下の3つ:
- 給与計算の自動化ツールを作る
- 資格試験の日程管理アプリを作る
- Webサイトを自分で作れるようになる
2年間の学習ロードマップ
Phase 1: 基礎学習(0〜3ヶ月)
学習内容:HTML/CSS/JavaScriptの基礎
使用教材:
- Progate(HTML/CSS/JavaScript基礎コース)
- ドットインストール(動画学習)
- 「いちばんよくわかるHTML5&CSS3デザインきちんと入門」(書籍)
学習時間:平日1時間、休日3時間(週12時間)
成果:
- 簡単な自己紹介ページを作成
- HTMLとCSSの基本的な書き方を習得
- JavaScriptの変数、関数、条件分岐を理解
挫折ポイント:
JavaScriptの非同期処理(Promise、async/await)で理解が止まり、2週間挫折しました。「難しすぎる、自分には無理かも」と何度も思いました。
乗り越え方:
「完璧に理解しなくていい。今は使えなくてもいい」と割り切り、先に進みました。後から実際に使う場面で再学習したら、すんなり理解できました。
Phase 2: 実践プロジェクト(4〜9ヶ月)
学習内容:実際にアプリを作りながら学ぶ
作ったもの:
- 給与計算ツール(Excelの代替):基本給 + 残業時間 → 給与を自動計算
- 資格試験カレンダー:試験日程をJSON管理、FullCalendar.jsで表示
- タスク管理アプリ:LocalStorageでデータ保存、CRUD操作の基本
学習時間:平日1.5時間、休日5時間(週17.5時間)
挫折ポイント:
「思った通りに動かない」「エラーメッセージの意味がわからない」という状況が毎日続き、心が折れそうになりました。特に、DOM操作とイベント処理の理解に苦労しました。
乗り越え方:
- エラーメッセージをそのままGoogle検索(ほぼ必ず解決策が見つかる)
- Stack OverflowやQiitaの記事を読み漁る
- console.log()でデバッグする習慣をつける
- 「1日1つ、新しいことを学べばOK」と目標を下げる
Phase 3: GitHub Pagesでの公開(10〜12ヶ月)
学習内容:Git/GitHub、静的サイトの公開
やったこと:
- Gitの基本コマンド(add, commit, push)を習得
- GitHub Pagesで初めてのアプリを公開
- 独自ドメイン(mechatora.com)を取得
成果:
自分の作ったアプリが、インターネット上で誰でもアクセスできる状態になり、大きな達成感を得ました。「自分にもできるんだ」という自信がつきました。
Phase 4: スキルの拡張(13〜24ヶ月)
学習内容:
- APIとの連携(外部データ取得)
- データ可視化(Chart.js、Leaflet.js)
- R言語とTidyverse(データ分析)
- レスポンシブデザインの実装
- Firebase(データベース、認証)
作ったアプリ(一部):
- 地震情報モニター(気象庁API連携)
- CookSuggest(料理提案ツール)
- 日本酒データベース(Firebase Firestore)
- フラッシュカード学習ツール
学習時間:平日2時間、休日6時間(週22時間)
30代からの学習で有利だった点
1. 実務経験からの「課題発見力」
社会人経験があるからこそ、「どんなツールがあれば業務が効率化するか」を具体的にイメージできました。学生時代と違い、「何を作るか」に迷いませんでした。
2. 学習への「自己投資意識」
20代の頃は、無料の教材だけで済ませようとしていましたが、30代では「時間を買う」という感覚で、有料教材(Udemy、書籍)に投資しました。結果的に、効率的に学べました。
3. 「完璧主義」を捨てられる
若い頃は「全部理解してから次に進む」という完璧主義でしたが、30代では「7割理解できたら次に進む」と割り切れました。これが学習速度を大きく上げました。
4. 「継続力」がある
社会人として働いてきた経験から、「毎日少しずつ続ける」ことの重要性を知っていました。モチベーションが下がる日もありましたが、「とりあえず10分だけやる」と決めて継続しました。
30代からの学習で不利だった点
1. 時間の制約
フルタイムの仕事、家庭の時間があるため、学生のように1日8時間勉強することはできません。平日は1〜2時間が限界でした。
2. 記憶力の低下
正直、20代の頃と比べて記憶力は落ちています。関数名や構文を覚えるのに時間がかかりました。
対策:
- Notionでメモを取り、いつでも見返せるようにする
- 「完全に暗記する」のではなく「どこを調べればいいか知っている」状態を目指す
- 復習を重視(1週間後、1ヶ月後に再度学習)
3. 周囲との比較による焦り
TwitterやQiitaで、20代の優秀なエンジニアを見ると、「自分は遅すぎるのでは」と焦りました。
対策:
- 他人と比較せず、「昨日の自分」と比較する
- SNSの情報を制限する(見る時間を決める)
- 自分の目標(エンジニア転職ではなく、業務効率化)を明確にする
働きながら学習時間を確保する方法
1. 朝の1時間を死守する
平日は朝5:30に起床し、7:00まで1.5時間を学習時間に充てました。朝は頭が冴えていて、集中力が高いです。夜は疲れて効率が落ちるため、朝学習を最優先にしました。
2. 通勤時間を活用
片道40分の電車通勤では、スマホでProgate、Udemyの動画学習、技術記事の閲覧をしました。1日往復で80分 = 月2,400分 = 40時間の学習時間になります。
3. 昼休みの15分
ランチ後の15分は、前日学んだことの復習に使いました。「昨日書いたコードを見返す」だけでも、記憶の定着に効果的です。
4. 休日の「集中タイム」
土日のどちらか1日は、午前中3時間を「プログラミング集中タイム」と決めました。カフェや図書館に行き、誘惑のない環境で学習しました。
おすすめの学習リソース
オンライン学習(無料・低価格)
- Progate:超初心者向け、ゲーム感覚で学べる(月1,078円)
- ドットインストール:3分動画で効率的(一部有料)
- Udemy:セール時なら1,500円前後、実践的なコース多数
- YouTube:「しまぶーのIT大学」「たにぐちまこと」など無料で高品質
書籍(体系的に学ぶ)
- 「いちばんよくわかるHTML5&CSS3デザインきちんと入門」(初心者向け)
- 「JavaScript本格入門」(基礎固め)
- 「リーダブルコード」(コードの書き方)
コミュニティ(質問・情報収集)
- Qiita:日本語の技術記事が豊富
- Stack Overflow:英語だが、ほぼ全てのエラーの解決策がある
- Twitter:#駆け出しエンジニアと繋がりたい でモチベーション維持
これから30代でプログラミングを始める人へ
1. 「転職」を目的にしない
「エンジニアに転職しなければならない」と考えると、プレッシャーで挫折します。まずは「今の仕事に活かす」「自分のアイデアを形にする」という目標で十分です。
2. 小さな成功体験を積み重ねる
最初から大きなアプリを作ろうとせず、「ボタンをクリックしたらアラートが出る」レベルの小さな成功を積み重ねましょう。達成感がモチベーションになります。
3. 「作りたいもの」から始める
文法を全部覚えてから作り始めるのではなく、「作りたいもの」を決めて、必要な知識をその都度学ぶ方が効率的です。私も「資格試験カレンダーが欲しい」から始まりました。
4. 完璧主義を捨てる
「綺麗なコードを書かなければ」「ベストプラクティスを守らなければ」という完璧主義は、学習初期には不要です。まずは「動くものを作る」ことを優先しましょう。
5. アウトプットを公開する
GitHub Pagesで公開する、Qiitaに学習記録を書く、Twitterで進捗を報告する。アウトプットすることで、知識が定着し、フィードバックももらえます。
まとめ
30代からのプログラミング学習は、決して遅くありません。このページのポイントをまとめます:
- 2年間で達成:HTML/CSS/JavaScript習得 → 15個のアプリ公開
- 学習時間:平日1.5時間、休日5時間(週17.5時間)
- 有利な点:課題発見力、自己投資意識、継続力、完璧主義を捨てられる
- 不利な点:時間の制約、記憶力低下 → 対策で克服可能
- 学習法:朝活 + 通勤時間 + 実践プロジェクト + アウトプット
- 重要マインド:転職を目的にしない、小さな成功体験、作りたいものから始める
「30代だから遅い」のではなく、「30代だからこそ有利」な面も多くあります。実務経験、課題発見力、継続力を武器に、ぜひプログラミング学習に挑戦してみてください。応援しています!
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