人事のプロが語る、採用で評価されるポートフォリオの作り方

人事のプロが語る、採用で評価されるポートフォリオの作り方

はじめに:人事が本音で語る「通過するポートフォリオ」

「ポートフォリオを作ったのに、書類選考で落ちる…」

現役人事として年間500件以上の応募書類を見ている私が断言します。ポートフォリオの8割は、人事の心に刺さっていません

なぜか?それは、エンジニア目線で作られているからです。人事が見ているポイントと、エンジニアが自慢したいポイントは、驚くほど違います。

この記事では、人事×エンジニアの両方の視点から、採用で100%評価されるポートフォリオの作り方を徹底解説します。

人事が書類選考で見ている3つのポイント

ポイント1: 5秒で分かるか?

人事は忙しいです。1件の書類を見る時間は平均30秒

悪いポートフォリオ:

【スキル】
Python, JavaScript, TypeScript, React, Vue, Angular, Node.js,
Django, Flask, FastAPI, PostgreSQL, MySQL, MongoDB, Redis,
Docker, Kubernetes, AWS, GCP, Azure, Git, GitHub...

スキルの羅列だけ。何ができるのか不明。

良いポートフォリオ:

【できること】
✅ PythonでWebスクレイピング → 3,500件のデータ収集自動化
✅ JavaScriptで検索機能実装 → 日本酒DBサイト開発
✅ Kaggle Master → 機械学習モデル構築の実績

スキル+成果がセット。即座に理解できる。

ポイント2: 「なぜ」が明確か?

人事が最も重視するのは、動機と熱量です。

悪い例:

  • 「勉強のために〇〇を作りました」
  • 「チュートリアルをやりました」

良い例:

  • 「居酒屋で日本酒の情報が見つからず、困った経験から日本酒DBを開発」
  • 「社労士試験の勉強が苦痛だったので、学習アプリを自作」

課題解決のストーリーがあると、人事の印象に残ります。

ポイント3: 継続力があるか?

人事が恐れるのは、すぐ辞める人です。

継続力の証明:

  • GitHubの草(Contribution)が1年以上続いている
  • ブログを定期的に更新している
  • Kaggleで長期間コンペに参加している

数ヶ月の努力より、1年以上の継続が評価されます。

GitHubプロフィールの最適化

Before: 評価されないGitHub

【プロフィール】
空欄

【リポジトリ】
- tutorial-react(forkしただけ)
- practice-python(チュートリアルのコピペ)
- test123(何のプロジェクトか不明)

【README】
なし

【Contribution】
たまに緑(継続性なし)

→ 人事の評価: 「本気でやってるの?」

After: 採用される GitHub

1. プロフィールを充実させる

# MechaTora 🐯

現役人事×データサイエンティスト

## 🎯 できること
- Pythonでのデータ分析・機械学習(Kaggle Master)
- Webアプリ開発(JavaScript/HTML/CSS)
- スクレイピング・自動化

## 🏆 実績
- Kaggle Competition Master
- 社会保険労務士資格保持
- 個人開発アプリ3つ公開中

## 📫 連絡先
- X: @xORMRha7Ck16551
- Blog: https://blog.mechatora.com
- Email: xxx@example.com

## 📊 GitHub Stats
![Stats](https://github-readme-stats.vercel.app/api?username=yourusername&show_icons=true)

2. Pinned Repositoriesを活用

トップに固定すべきリポジトリ(3〜6個):

  1. 最も自信のあるプロジェクト
  2. 業務に近いスキルを示すもの
  3. 継続的に更新しているもの

例:

📌 sake-database(日本酒データベース)
   ⭐ 50 stars | 🍴 10 forks | 🔧 Last updated: 2 days ago

📌 kaggle-competitions(Kaggleソリューション集)
   ⭐ 120 stars | 🏆 Gold Medal solution

📌 hr-data-analysis(人事データ分析ツール)
   ⭐ 30 stars | 📊 Python + Streamlit

3. READMEを人事向けに書く

悪いREADME:

# Project

Install:

npm install


Run:

npm start

技術的すぎる。人事には刺さらない。

良いREADME:

# 日本酒データベース 🍶

47都道府県・3,500銘柄の日本酒を検索できるWebアプリ

## 🎯 作った理由
居酒屋で「この日本酒、どこの酒蔵?」と思っても情報がバラバラ。
全国の日本酒を一元管理できるサービスがほしかった。

## ✨ 特徴
- 都道府県別検索
- 銘柄名・酒蔵名での絞り込み
- スマホ対応

## 🛠️ 使用技術
- フロントエンド: Vanilla JavaScript
- データ収集: Python(BeautifulSoup)
- ホスティング: GitHub Pages

## 📈 成果
- 月間PV: 10,000
- ユーザー数: 1,500人

## 🔗 デモ
https://sake-nihonshu.mechatora.com

## 📝 技術記事
https://blog.mechatora.com/articles/sake-database-development

→ **「なぜ作ったか」「どう役立つか」**が明確。

4. Contributionを毎日埋める

人事の印象:

  • 草が毎日緑 → 「継続力がある」「真面目」
  • 草がまばら → 「三日坊主?」

継続のコツ:

# 毎日の習慣にする
git commit --allow-empty -m "Daily commit: 学習記録"
git push

# または
echo "$(date): 今日学んだこと" >> learning-log.md
git add learning-log.md
git commit -m "Add learning log"
git push

重要: 空コミットでもOK。継続が最優先

技術ブログで差をつける

ブログを持つメリット

人事目線での評価:

  1. アウトプット力: 技術を言語化できる(重要スキル)
  2. 継続力: 定期更新は評価ポイント
  3. コミュニケーション力: 文章力=仕事力

人事に刺さる記事の書き方

悪い記事タイトル:

  • 「Reactの使い方」
  • 「Pythonでスクレイピング」

→ ありふれている。個性がない。

良い記事タイトル:

  • 「日本酒データベース開発秘話|3,500件のデータ収集の全記録」
  • 「Kaggle Masterが教える、未経験からデータサイエンティストになる最短ルート」
  • 「社労士×エンジニアという働き方|スキル掛け算で市場価値10倍」

独自性がある。ストーリーがある。

ブログのSEO対策

人事はGoogleで検索してあなたを見つけます。

最適化ポイント:

<!-- タイトルに「〜の方法」「〜入門」を入れる -->
<title>未経験からKaggle Masterになる方法|完全ロードマップ</title>

<!-- descriptionを120文字で -->
<meta name="description" content="Kaggle Master到達者が語る、未経験からデータサイエンティストになるための完全ロードマップ。実践的なコンペ戦略、おすすめライブラリ、挫折しない学習法を詳しく解説します。">

<!-- keywordsを5〜10個 -->
<meta name="keywords" content="Kaggle,データサイエンス,機械学習,Python,転職">

記事数の目安:

  • 最低10記事(人事が見て「しっかりしてる」と思うライン)
  • 理想は30記事以上

履歴書・職務経歴書の書き方

【職務経歴書】実績の見せ方

悪い書き方:

【個人開発】
・日本酒データベースを作成
・Kaggleに参加
・ブログを書いている

何も伝わらない

良い書き方:

【個人開発プロジェクト】

■ 日本酒データベースサイト(2024年1月〜)
【概要】47都道府県・3,500銘柄の日本酒を検索できるWebアプリ
【技術】JavaScript, Python(BeautifulSoup), GitHub Pages
【成果】
・月間PV: 10,000
・ユーザー数: 1,500人
・Xでバズり、1日で500PV獲得
【URL】https://sake-nihonshu.mechatora.com

■ Kaggle Competition(2022年〜)
【概要】世界最大のデータサイエンスコンペに参加
【実績】
・Kaggle Master到達(世界ランク上位1%)
・金メダル1個、銀メダル2個、銅メダル5個
・主な成果:
  - Mechanisms of Action Prediction(3位/4000チーム)
  - IEEE-CIS Fraud Detection(150位/6000チーム)
【URL】https://www.kaggle.com/yourusername

■ 技術ブログ運営(2023年〜)
【概要】Web開発・データサイエンス・キャリアに関する技術ブログ
【実績】
・記事数: 35記事
・月間PV: 5,000
・Google検索上位表示: 10記事
【URL】https://blog.mechatora.com

数字で成果を示す。URLで証明する。

【履歴書】資格欄の書き方

悪い例:

【資格】
・社会保険労務士

良い例:

【資格・スキル認定】
・社会保険労務士(2022年合格、合格率6%の難関資格)
・Kaggle Competition Master(世界ランク上位1%、日本人数百名のみ)
・簿記2級

希少性を強調する。

面接で刺さるポートフォリオの見せ方

面接官の質問パターン

質問1: 「このプロジェクト、なぜ作ったんですか?」

悪い回答: 「勉強のためです」

良い回答: 「居酒屋で日本酒を飲むたびに、『これどこの酒蔵?』と疑問に思っていました。しかし、情報がバラバラで調べるのが大変だったので、全国の日本酒を一元管理できるデータベースを作りました。結果、月間1万PVのサービスになり、同じ悩みを持つ人が多いことを実感しました。」

課題→解決→成果のストーリーで語る。

質問2: 「一番苦労したことは?」

悪い回答: 「特にないです」

良い回答: 「データ収集が最も大変でした。47都道府県の酒蔵データを集めるため、Pythonでスクレイピングツールを自作しましたが、サイトごとにHTMLの構造が違い、エラー処理に2週間かかりました。最終的には、try-exceptで堅牢なコードを書き、3,500件のデータを自動収集できました。」

技術的な課題解決策を具体的に。

質問3: 「今後の展望は?」

悪い回答: 「特に考えていません」

良い回答: 「現在、ユーザーからの『レビュー機能がほしい』という要望を受けて、Django + PostgreSQLでバックエンドを開発中です。また、機械学習で好みに合った日本酒をレコメンドする機能も追加予定です。継続的に改善していきます。」

成長志向をアピール。

デモの準備

必須:

  • ノートPCを持参し、その場でデモ
  • または、スマホで見せられるようにURLを準備

NG:

  • 「URLを送ります」だけ
  • スクリーンショットのみ

実物を動かすのが最強。

人事が密かに見ているポイント

ポイント1: SNSの発信

人事はあなたのXアカウントをチェックしています。

良い発信:

  • 技術的な学びをシェア
  • ポジティブな内容
  • 継続的な投稿

NG発信:

  • 会社の愚痴
  • ネガティブすぎる内容
  • 政治的な過激発言

ポイント2: GitHubのIssue/PR

加点ポイント:

  • OSSへの貢献(Issue報告、PR提出)
  • 他の人のコードレビュー
  • Discussionでの質問・回答

コミュニケーション力の証明。

ポイント3: Qiita/Zennの記事

人事の評価:

  • Qiita: 「技術力がある」
  • Zenn: 「最新技術に詳しい」

おすすめ:

  • 週1記事を目標に
  • 自分の学びを記事化
  • LGTMをもらう(ソーシャルプルーフ)

まとめ:ポートフォリオは「営業資料」

ポートフォリオは、あなた自身を売り込む営業資料です。

人事に刺さるポートフォリオの5原則:

  1. 5秒で分かる: スキル+成果をセットで
  2. ストーリーがある: なぜ作ったか?
  3. 継続力を示す: GitHubの草、ブログ更新
  4. 数字で証明: PV、ユーザー数、順位
  5. 成長志向: 今後の展望を語る

今日からできること:

  • GitHubのプロフィールを5分で書き直す
  • READMEに「なぜ作ったか」を追加
  • ブログ1記事を書く

ポートフォリオを磨いて、書類選考100%通過を目指しましょう!

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あなたのポートフォリオが、採用担当者の心に刺さりますように!

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✍️ この記事を書いた人

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MechaTora

社会保険労務士 × Web開発エンジニア × データサイエンティスト。
人事労務の専門知識とプログラミングスキルを活かして、実務に役立つツールやコンテンツを開発・発信しています。